次の霊場
霧深い山道を歩いていると、かすかに錫杖の鈴の音が聞こえてくる。
その音はだんだんこちらに近づいてきた。
前方に人影が見えてくるが、霧のせいでよく見えない。
その影はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
恐る恐る見てみると、その人影は紙子を着、茅で編んだござを抱え、
背中には椅子を背負い、足に藁草履を履いている。
食を乞うための木の鉢を肘にかけ、数珠を右手に懸けた修行僧だった。
そう、まぎれもなく空海だ。

なんて事を想像し、
はるか昔、平安時代の山奥に想いを馳せながら歩く。
遍路道は街中から山道に入る。やはりアスファルトよりも自然の道の方が心が躍る。
この日は五月、菖蒲が綺麗に咲いていた。
恩山寺に向かう途中、逆打ちをしている人とすれ違い、道を聞かれた。
逆打ちとは、八十八番札所を反対周りで巡る事をいう。通常の巡り方は順打ちという。
逆打ちをすると順打ちよりも苦労が多い事から、深い徳を授かれると言われている。
そして何よりも空海に会えるかもしれない。
なぜならば空海は今も四国八十八霊場を周っていると言われ、その為いつかすれ違うと言うのだ。
高野山真言宗

薬師如来

開基 行儀菩薩

第17番札所から約14km
おん ころころ 
 せんだり まとうぎ 
       そわか
第18番札所
母養山 宝珠院
恩山寺
子を生めるその父母の恩山寺
訪らいがたきことはあらじな

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